高血圧・動脈硬化症に効果のある温泉
世界保健機構(WHO)では最大血圧を160ミリ水銀圧、最小血圧は95ミリ水銀圧を正常値と決めています。日本では150、90ミリを基準としていることが多く、最大・最小血圧ともこの基準以内であれば正常値、それ以上である場合を「高血圧」とよんでいます。その他に最大、最小のいずれかのみが高い場合を「境界型高血圧」といいます。
ご存じの通り血圧は一日の中でも変動し、正常血圧の人でさえ10~30もの変化があり、高血圧症の人では50以上も変わることさえあります。血圧は睡眠中がもっとも低く、目覚めから午後3~5時位までにかけて徐々に上昇し、その後はだんだんと下降します。季節のうちでは秋から冬にかけてが最も血圧の上がる季節です。
高血圧症の原因は心臓や血管、腎臓などの病気がありますが、肥満も見逃せない原因のひとつです。しかし実はこれらの病気が原因の高血圧症はわずかで、両親が高血圧症で子どもがその体質を受け継ぐ遺伝的な、いわゆる「本態性高血圧」がほとんどなのです。「本態性高血圧」は一般的に35~40歳頃からはじまりますが生活に注意を払えば健康に長寿を全うすることも可能です。ただし、動脈硬化や心臓病などの合併症を伴うと心筋梗塞や脳卒中を引き起こすので合併症の予防には特に注意が必要です。
また「動脈硬化症」は血管に起こる老化現象で、動脈が硬くなったり柔軟性が失われていく状態をいいます。動脈硬化がすすむと心筋梗塞や脳梗塞、腎梗塞などの病気を引き起こします。
原因は中性脂肪やコレステロールが血液中に多い場合や喫煙・ストレス・糖尿病・肥満などがあげられます。したがって予防にはこれらを解消する日常の注意が大切です。
さて、以上のような症状には日本の温泉のような42~43度のような高温浴は良くありません。
37度前後の微温浴が鎮静作用や皮膚の血行作用を促進してむやみに血圧を上昇させず適しているといえるでしょう。泉質は「イオウ泉」をはじめ「単純泉」「食塩泉」「炭酸泉」「石膏泉」「放射能泉」などが効果があります。昔からぬるめの 「単純炭酸泉」を「中風の湯」と呼び、高血圧や機能回復に運動療法とともに利用されてきました。また「酸性泉」は成分のイオンが体内に取り入れられると関節を強くし動脈硬化を予防する作用をもっています。
以上のような疾患は温泉が逆効果をもたらす場合もあるので注意が必要です。いずれにしても独自の誤った判断は禁物です。温泉療法医の勤務する温泉病院で正しい指導のもとに温泉療法を試みられることをお薦めします。
●効能が期待できる温泉地●
川汲温泉・旭が丘温泉(北海道) 浅虫温泉・葛温泉(青森県) 志張温泉(秋田県) 暮点温泉(山形県)
松川温泉(岩手県) 鎌先温泉(宮城県) 土湯温泉(福島県) 法師温泉(群馬県) 板室温泉(栃木県) 湯沢温泉(新潟県)
下部温泉(山梨県) 白狐温泉(岐阜県) 山代温泉(石川県) 鹿教湯温泉・美ヶ原温泉(長野県)畑毛温泉(静岡県)
鮎川温泉・勝浦温泉(和歌山県) 城之崎温泉(兵庫県) 鳥取温泉(鳥取県) 長湯温泉・寒の地獄温泉(大分県)基山ラジウム温泉(佐賀県)
などが代表的な温泉地です。
いずれにしても独自の誤った判断は禁物、温泉療法医の勤務する温泉病院などで正しい指導のもとに治療をなさることをお薦めします。
半身浴・足浴で疲労回復
お風呂には全身浴と半身浴の2種類の入浴法があります。
全身浴だと、交感神経が活発になるため、朝の目覚めに、42度ぐらいで5分くらい入るとスッキリします。血行がよくなるので肩こりによい。

半身浴は、疲労回復に最適。37~39度のお湯(人肌よりやや温かいくらい)に約20分くらいつかる。
上半身をお湯の外に出すのは、長い時間つかるため心臓に負担をかけないようにするためです。
半身浴で入浴していると温熱効果と水圧の効果で血液循環もよくなり、汗が出てきます。
副交感神経の働きが活発になり、気分がリラックスできます。ストレスには効果的。ただし、冬での半身浴は、上半身が冷えてくるので肩にタオルなどをかけるとよい。
足浴とは、その名のとうり足だけお風呂に入るというもので、疲労回復の効果があります。

半身浴をしてもまだ疲労が残っていると感じたときや、お風呂に入る時間がないけれども疲れをとりたいときにおすすめです。短時間でできるというメリットがあります。
まず、バケツのような大きな容器に37~39度くらいのお湯を入れて、膝下くらいまでつけます。5分~10分くらいを目安につかってください。足のむくみがとれ、疲労が回復します。